青学

□マフラー
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「先輩。遅くなって…」
「約束の時間までにはまだ5分あるから大丈夫だよ。じゃあ行こうか」



今日(24日vV)、俺と海堂は街へ繰り出した。

俺へのプレゼントがどうしても浮かばなくて、出掛けた先で俺の欲しい物を買いたい…という、海堂の犯罪級に可愛い提案の元、こうして2人で外出している。

プレゼントなんていいのに…。


「今欲しい物って何スか?」
「そうだな…」
「………」




こら、海堂。
そんな可愛い目で見上げるんじゃないよ。
欲しい『もの』言いそうになるだろう?



「…服とか、無いんスか?」
「悩ませて悪いな、海堂」

俺の事は良いッス、と言って、前を見る。

残念。
もう少し、視線を独り占めしたかったな。


「乾先輩、寒くないんスか」

また、海堂がチラリと俺を見上げる。

俺は、必要無いと判断して、マフラーを家に置いてきた。
歩いてる内に体も暖まると思ってたんだが……そうもいかない様だ。

「ちょっと後悔してる」
「………」

それを聞いた海堂が、前を見たまま何かを考えている。

俺は、そんな海堂を、そっと見下ろす。

手入れの行き届いた髪の毛が、時折風に揺れる。
俺の頬をかすめる風と同じ温度に見えない。
それほど、海堂の髪の毛は柔らかく、優しく揺れていた。



「マフラーは駄目スか?」

触りたい衝動と闘っている時、急に海堂が声を上げた。

「…え?」
「マフラー、プレゼントにしたら駄目スか?」
「海堂がプレゼントしてくれる物は、何でも嬉しいよ」






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