氷帝

□memory.
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あれは2月14日…。


朝から忍足の様子が変だった。


いつもなら、俺の顔を見るなり

「今日も俺は愛に生きるで…」
「俺は跡部と出会う為に生まれたんやで…」
「今日こそ跡部に好きやー言わしたるで…」
「なぁ…今日も跡部んち行ってもエエ?」

とか言ってくるのに、あの日は何も言ってこなかった。
かえって気味悪かったぜ。


あの日は、俺と目が合ってもスグ逸らすし、話し掛けるとモジモジしやがるし…。

あまりにも気味悪ぃから、忍足に『俺が何かしたか?』って聞いてみた。
そしたら、『イケズやな…。ホンマは今日が何の日か分かってんねやろ…?』とか言って、頬なんて染めやがった。

その日が何の日か知らねぇからそう言ったら、忍足は今度は急に青ざめて、
『え…それは、俺に贈り物用意してへんっちゅー事か…?』
とか言いやがった。

テメエの誕生日はとっくに過ぎてるだろうが…。

『景ちゃん…今日はヴァレンタインやねんで…?下唇噛んで“ヴァレンタイン”やで…?惚れとる男にチョコ贈る日やねんで…?』

その忍足のセリフに、俺からのチョコが欲しいんだという事をスグに察したが、俺は敢えて気付いてねぇフリをした。

俺『だから何だ?』
忍『惚れとる男、おるやろ?』
俺『さぁな?』
忍『Σ( ̄□ ̄;)』


あの時の忍足の驚きようは凄かったぜ。
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