氷帝

□権力ハニー
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「跡部、何か乗りたいの有ったら言うて?」
「…別に……」
「………」



遊園地行く途中の電車でも無視、電車降りてココ来るまで歩いたんやけど、無視。
トコトン無視されてココまで来た。

俺、頑張って跡部の機嫌取ろー思て、めっさ話し掛けたんやで?
『晴れて良かったなー』とか。
『絶好のデート日和やなー』とか。
『家に帰るまでが運動会やで?』とか。
せやけどな…ずっと無言やねんで。
俺、虚しかったわ…。

俺の独り言、そないにアカンかった?
変な事は言うてへんやろ…。
…何がアカンねん。
しまいには泣くで…俺。

浮かれてんの、俺だけなんちゃうか…。


跡部は側のベンチにドサッと腰を下ろした。
顔は、不機嫌マルダシ。

…遊園地、失敗やったか…。
せやけど、映画《ラブロマンス》は…もっと嫌やろ…跡部は。


「景ちゃん…いつになったら機嫌直してくれんねん」
「……別に怒ってねぇよ…」
「…ほなら、何で俺の事無視すんねん」

ベンチに座って下向いとる跡部と、立ったまま跡部を見下ろす俺。
真夏の日差しは俺らにも容赦なくて。
せやけど跡部は冷たくて。
俺のハートも夏バテで。
熱いのはアスファルトと周りのカップルで。
ごっつ腹立つ。

「…そないに嫌やったら、最初から嫌やー言うたら行かへんかったのに…」
「………」

また無視かい…。

「…エエよ。今日は諦めるわ。せやけど、せっかく来たんやから、一緒にソフトクリーム食うてこ?」

侑士、これだけは譲れへん。
これも嫌やー言われたら、何の為に遊園地来たか分からんやんか。

「…分かった」

跡部は、頷いてくれた。
俺の顔は見てくれへんかったけどな…。

「…おおきに。ほなら跡部の分も買うてきたるさかい、ココで待っとき…」


いざ、夢の

『跡部、ほっぺにアイス付いてんで?舐めたるvV

実行。



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