稲妻11
□ダメな僕
1ページ/1ページ
あの日、初めて君を抱きしめた時から
もう、ダメになってしまったんだ
君がいないと、僕はダメになってしまったんだ
「吹雪?」
丸い瞳が不思議そうに僕を映している。
それは本当に綺麗で、僕を映すには勿体ない程だった。(だからと言って自分以外を映して欲しくない。自分だけを見てほしい。矛盾してるよね。)
キャプテンの呼び掛けには返事をしないで、先程からずっと彼を抱きしめている腕に更に力を込める。
温かい。
いつか、いつも感じていた、人の温かさを忘れかけていた様な気がする。
あの日を境に
独りぼっちになった日を境に
キャプテンのおかげで忘れずにすんだよ。
この上なく優しくて安心する、この温かさを。
「ふ、ぶきっ」
苦しい、と耳元から小さな声が漏れた。
「ご、ごめんね。キャプテン」
直ぐに解放(と言っても、僕の腕は彼の腰の後ろでがっちり組まれている)すれば、また不思議そうにこちらを見た。
「…何かあったのか?」
「特にないよ」
ただ、君を抱きしめたくて堪らなかったんだ。
僕の言葉に、本当か?と問い、小さく数回瞬きをするキャプテン。すごく、心配そうな表情。
そんな彼が、可愛くて、愛しくて堪らない。
やっぱり、君がいないと僕はダメなんだ。
我慢ならなくなってまた君を強く抱きしめた。
さっきの言葉を訂正します。
初めて抱きしめた時からじゃない。
初めて君の存在を知った時から、僕はなってしまったんだ。
君がいないとダメな僕に。
もう君を手放す事はできません。
end
+++
円堂がいなとダメダメな吹雪くん^^