読みモノ
□落ち葉拾い 第一章
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魂は、強い未練を残しながら現世に留まりすぎると鬼になる。
未練を無くしてやるのが一番いい方法ではあるのだろうが、いちいち一人一人に割いている時間など毛ほども無い。
何せ燃やしても燃やしても、次から次へと出てくるのだから。
生きている人、大切な人を守りたいと言うならば、燃やすしか無いのだ。
「お疲れ様、相良くん」
まるで一仕事終えてすっきりしたかのような顔で、俺の部下であり、パートナーである鬼瓦 刹那(おにがわら せつな)が優しい気持ちで溢れた言葉をかけてきた。
だが、それでも許さない。
「ああ、ありがとう。でもな、鬼瓦、一発殴らせろ」
「え?ど、どどどうしてですか!?ってイタッ」
女だからと言って容赦する訳ではないが、拳骨だけでゆるしてやろう。
「同情したら殺されるのは俺達、いや、今生きている人達や、大切な人達だぞ!!…この阿呆。次こそは覚悟を決めろ。お前に死なれるなんて俺は…御免だ」
「はい」
今の鬼瓦を見て、俺は婆ちゃんが死んで鬼になった時の自分が重なった。
あの時は俺も躊躇ってしまったたけなあ、と。
「あの、」
「何だ鬼瓦?」
「腰抜けちゃいました」
そう言われれば、さっきから座りこんでいた
「おぶってやる。速く乗れ」
「はい!」
午前二時半、俺は、鬼瓦を背負いながら帰路についた。
胸が背中に当たっていて正直困ったのは、内緒の話だ。