白石蔵ノ介小説企画『毒と薬。』
□幸福のカタチ。
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謙也と光が付き合い始めたらしい。
俺からしてみれば「やっとか」っていう思いしかあらへんのやけど。
「蔵、真剣に聞いてな?俺、光のこと本気で好きになったみたいなんや」
そう俺に思いを打ち明けた謙也。
「部長…謙也くんの何なんすか?いつも一緒におるやん」
そう俺に怒りをぶつけてきた光。
どっちも同じ気持ちだと知っていたのは俺だけで。
謙也が光を好きだなんて見ればわかったし、光の俺に対する視線が痛いのも何となく感じてた。
きっと2人は同じ思いを抱いてる。
早く伝えればええのに、と俺はずっと思ってた。
それでもなかなか伝えられずにいたのが2人らしいといえばらしいんやけど。
「俺、光と付き合うことになったんや!!」
昨日、嬉しそうに俺に報告した謙也。
親友と大切な後輩。
同じ夢を持ってた2人。
それが道しるべとなって、繋がって。
やっとやっと――通じあえた。