四天宝寺(短編)
□…先輩、ピアス如何です?
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「へろーへろー。ひーたんですおー」
「…なんですか?貴方、誰ですか?」
「って、俺っすわ。蔵先輩酷い。俺ってわかっててそういうこと言うんやから」
「もうなんていうか…ぶっちゃけお前に関わりたくあらへんのや」
「なぁ…先輩。それ、ぶっちゃけすぎですわ。俺にも心があるんやで?泣いてまうで?」
「泣いてもええわ。そんな光見てみたいもんやで」
「やっだー。先輩…どえ」
「それ以上言うたら殴るで?」
「…む、って言うかもしれへんやんか」
「どっちも聞きたないからやめや。で?その手に持ってる袋はなんや?」
「これっすか?見たい?知りたい?」
「いや。全然。全く。なんかもうええわ」
「そんなこと言うて…ほんまは見たいんやろ?」
「全然。もう帰ってええ?」
「やだぁ!嘘やって!!ちょ、これ見てー!!」
「しゃーないな。…ん?」
「…」
「ピアス?…やなくてピアッサー?」
「せや。ピアッサー買ってきてん。ほな、開けよ」
「お前…まだ開けるつもりやったんか?懲りんやっちゃな」
「はい?俺はもう十分ですわ。開けるのは、俺やなくて蔵先輩やで?」
「は?」
「はい?俺はもう十分ですわ。開けるのは、俺やなくて蔵先輩やで?」
「…何で全く同じこと二回言うてんねん…。特に前半いらんやろ…」
「律義に答えたのにぃ」
「そういうとこ律義にせんでええわ。っちゅーか俺、開けるなんて言うてへんで?むしろ光の見て、開けたないって言わんかったっけ?」
「言うてました。せやから、買ってきた」
「あのー…理屈おかしくないですか?」
「そうですか?先輩がビビってるみたいやったから…ぜひ、開けてあげようかと」
「お前って…人の話、聞いてへんのとちゃうか…いつもいつも…」
「聞いてますって!ほら、はよはよ!!」
「だーかーら!開けへんって言うてるやろが!!」