四天宝寺(短編)
□…先輩、ブログ如何です?
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「じゃーん。ついに買ってしまいましたー」
「…何それ。小さいなぁ。パソコン?」
「そうっすわ。今までデスクトップしか持ってへんかったから買った」
「別にええやんか、ケータイで。ケータイでもネット出来るで」
「そうやけど、こっちのほうが便利やんか。そう思わへんの?」
「思わん。いつも思うけどな、財前は無駄なものにお金かけすぎやで」
「ええねん。他に使い道ないし。って、これ、無駄とちゃう」
「無駄やろ。何でケータイで代替出来るもんに高い金払ってんねん」
「えー、だってー、この方がええと思ったんやもん」
「はいはい。わかったから口膨らませない。ひよこ口すな!」
「まぁ、とにかくこれでブログ書くんすわ。ええやろー?」
「いや、俺別にブログやってへんから何とも思わんけど」
「ええやろー?」
「二回聞いても変わらへんわ。っちゅーかブログ、いつもケータイからアップしてるやん」
「まぁね。けど、パソコンからだと色変えられるし、動画も貼り付けられるんですわぁ」
「どんだけ本気やねん…」
「一応、俺のブログを楽しみにしてくれてる人って結構おんねん」
「へぇ。物好きもいたもんやなぁ。財前の日記なんて…近くにいる俺らは見たらアカン気ぃするわ。どんな悪口書かれてることか」
「心外っすわ。俺が悪口なんて書くわけないで。特に蔵先輩には褒め言葉しかあらへんで」
「ほんまか?例えばどんな?」
「えーっと…これとか。昨日のやつっす」
「んー?…『今日も蔵先輩がかわゆす。部室に入るとき転びかけてたけど、何事もなかったかのように振舞ってた。かわゆす』…って、何で知ってんねん!」
「見てたんやもん。たまたま」
「そもそも何で本名出してんねん!知り合いに見られたらどないすん!」
「大丈夫ですって。ほら、このスピード★さんのコメント読んでみぃ」
「『それ、俺も見ました。』…って、謙也やろが、これ!確実に!」