四天宝寺(短編)

□…先輩、ブログ如何です?
1ページ/3ページ

「じゃーん。ついに買ってしまいましたー」

「…何それ。小さいなぁ。パソコン?」

「そうっすわ。今までデスクトップしか持ってへんかったから買った」

「別にええやんか、ケータイで。ケータイでもネット出来るで」

「そうやけど、こっちのほうが便利やんか。そう思わへんの?」

「思わん。いつも思うけどな、財前は無駄なものにお金かけすぎやで」

「ええねん。他に使い道ないし。って、これ、無駄とちゃう」

「無駄やろ。何でケータイで代替出来るもんに高い金払ってんねん」

「えー、だってー、この方がええと思ったんやもん」

「はいはい。わかったから口膨らませない。ひよこ口すな!」

「まぁ、とにかくこれでブログ書くんすわ。ええやろー?」

「いや、俺別にブログやってへんから何とも思わんけど」

「ええやろー?」

「二回聞いても変わらへんわ。っちゅーかブログ、いつもケータイからアップしてるやん」

「まぁね。けど、パソコンからだと色変えられるし、動画も貼り付けられるんですわぁ」

「どんだけ本気やねん…」

「一応、俺のブログを楽しみにしてくれてる人って結構おんねん」

「へぇ。物好きもいたもんやなぁ。財前の日記なんて…近くにいる俺らは見たらアカン気ぃするわ。どんな悪口書かれてることか」

「心外っすわ。俺が悪口なんて書くわけないで。特に蔵先輩には褒め言葉しかあらへんで」

「ほんまか?例えばどんな?」

「えーっと…これとか。昨日のやつっす」

「んー?…『今日も蔵先輩がかわゆす。部室に入るとき転びかけてたけど、何事もなかったかのように振舞ってた。かわゆす』…って、何で知ってんねん!」

「見てたんやもん。たまたま」

「そもそも何で本名出してんねん!知り合いに見られたらどないすん!」

「大丈夫ですって。ほら、このスピード★さんのコメント読んでみぃ」

「『それ、俺も見ました。』…って、謙也やろが、これ!確実に!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ