四天宝寺(短編)
□…先輩、洋楽如何です?
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「ばびゅーん。光くんの登場です」
「…そろそろ突っ込む気すらなくなってきたわ…」
「何でですか。もっと俺に関心持ってくれてもええんとちゃいます?」
「お前がもっと普通なら持ってもええんやけど?何でおかしくなってんねん」
「そ、そんなん…蔵先輩が俺をおかしくしたんやろ!」
「何で恥じらい?ツンデレ?頬赤らめるな、キモイ。しかもしてへんし。お前が勝手におかしくなったんやろ。人の所為にすんな」
「はいはい。そうっすわ。どうせ俺の所為っすわ」
「光…情緒不安定なんか?色々大丈夫か?」
「平気っすわ、失礼な。心配されるようなことはなんもあらへんで?」
「その状態でその発言、逆にかなり不安なんやけど」
「まぁまぁ。それはええとして…これ聞いて下さい」
「お、珍しい。お前が大事な大事なヘッドフォンを俺に渡すなんて」
「そうでしたっけ?これ、お勧めなんで聞いてみてください」
「んー…」
「…」
「…そか?」
「おい!そこは嘘でもええから合わせるとこっすわ!」
「いや、そんなん言われても…俺の趣味には合わんし」
「蔵先輩っていつもそうっすわ。俺が勧めてもやたら拒否するっちゅーか」
「それ、お前にも言えるけどな。ヨガすぐに飽きたくせに」
「あれは俺に合わん。あんなんするなら普通にストレッチしてた方がマシっすわ」
「せやからそれと同じやろ。俺はそれがええと思ってんねんで」
「蔵先輩は洋楽の良さを全然分かってへんのや。どうせ言うてることわからんとか言うタイプやろ?」
「勝手に決めるなや。ちょっとぐらいならわかるわ。まぁ、確かに邦楽の方がダイレクトでわかりやすいけどな」
「はぁ。そこが一番駄目なんすわ。なんちゅーか、邦楽に逃げるっちゅーんですか?何かそこがアカン。そこがダメ」
「…うぜ」
「大体、洋楽ちょっと聞いたぐらいで嫌いとかおかしいっすわ。邦楽は色々聞いてこのバンドがええとか決めるやろ?それやのに、洋楽は何言うてるかわからへん、どれも同じ、とか思ってるやろ。そういうの、おかしいと思わへん?」