白石蔵ノ介小説企画『毒と薬。』
□ずっと、きっと。
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「あぁ…」
答えなど出るはずがない。
求めてすらいないけれど。
彼のことをもっと知りたい、会いたい、触れたい。
願ってはいけないことだとわかってる。
わかっているけれど、願ってしまう。
「俺、諦めきれへんわ……仁王くん」
たくさん悩んで、迷った。
諦めろと何度も自分に言い聞かせた。
――でも、諦めることは出来ない、きっと。
「ごめんな？好きで……いさせてや？」
出会ったあの日、声を掛けられてからずっと君しか見えてない。
思わせぶりな態度で俺を捕えて、突き放すなんて。
「あぁ、詐欺師に騙された」
騙されても、君が好きや――