12/12の日記

12:17
細氷 3
---------------

違う道を選んだガゼル様。
責めるなんてことはしない。
責める対象はあの雷門。
縋りたいけれどしてはならない。
縋るのは本当に必要な時に。
嫌だなんて言いはしない。
嫌だと言っても、その心を無駄に苦しめさすだけ。
ならば、我らは笑顔で見送りましょう。

『いってらっしゃいませ』

最大級の忠誠を示した敬礼に、
最上級の敬愛を表した笑顔に、
最低限の束縛を孕んだ言葉に。
ガゼル様はその蒼を一瞬瞠らせて。

「ん…いってくる」

ふんわりと、不敵に。
最高級の微笑みを残し、かの地へ向かわれた。

その気高き背中を乗せたキャラバンが完全に見えなくなる。
一陣の風は、いつかの手のように冷たく、でも優しくて。

『っ…!!』

今だけ、一度だけ。
悲鳴を上げる胸に、声無き慟哭を。
哀しみを涙と化させ、地に墜ち消えさせて。
みんなで、泣いた。



*****
ガゼル引き抜きの際の、細氷メンバー。
 

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ