12/12の日記
12:17
細氷 3
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違う道を選んだガゼル様。
責めるなんてことはしない。
責める対象はあの雷門。
縋りたいけれどしてはならない。
縋るのは本当に必要な時に。
嫌だなんて言いはしない。
嫌だと言っても、その心を無駄に苦しめさすだけ。
ならば、我らは笑顔で見送りましょう。
『いってらっしゃいませ』
最大級の忠誠を示した敬礼に、
最上級の敬愛を表した笑顔に、
最低限の束縛を孕んだ言葉に。
ガゼル様はその蒼を一瞬瞠らせて。
「ん…いってくる」
ふんわりと、不敵に。
最高級の微笑みを残し、かの地へ向かわれた。
その気高き背中を乗せたキャラバンが完全に見えなくなる。
一陣の風は、いつかの手のように冷たく、でも優しくて。
『っ…!!』
今だけ、一度だけ。
悲鳴を上げる胸に、声無き慟哭を。
哀しみを涙と化させ、地に墜ち消えさせて。
みんなで、泣いた。
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ガゼル引き抜きの際の、細氷メンバー。
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