04/07の日記

14:46
ガゼルと紅炎の誰か
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気持ち悪い程に優しく、頬を撫で輪郭をなぞり首を伝って、止まる。

「何だ」
「…このまま、力を込めたなら」
「………」
「――死ぬんでしょうか…」

嗚呼何だ。
唐突に理解した。同時に落胆。
そんな私に気付いたのか圧迫を掛けてきた。

「何です、その眼は」
「貴様も哀れだと思ってな」
「…今の状況を御解りで?」

細まる瞳。
それに映る私の唇が弧を描く。
目に見える嘲笑。
遠慮などしてやる筈も無く嗤ってやった。

「私の命とやらを握っているとでも?」
「…、…」

また細まる瞳、強まる首の圧迫。
些か息苦しいが死には到底至らない。
ほら、君は私の命を握ってなどいない。
思い上がりも甚だしい。

「実に滑稽だな」

今度は私が双眸をゆっくりと細め、見据える。
君が崇拝する彼と対な私の寒色。
だからこそ反発し惹かれた彩。

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