04/18の日記
10:52
涼南♀ 書き掛け
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顔を上げた晴は泣いていた。
一瞬目を瞠った風介。
「………」
「………」
沈黙が続く。
さぁ如何出る!と身構えた晴やリカ達を他所に、彼は慰めるでも慌てるでもなく、呆れた眼差しを向けた。
「嘘泣きか」
「!!」
「無意味だな。付き合いきれん」
「…何で解るんだよ」
ぎろりと潤んだままの瞳で睨む。
男は女の涙目に弱いというのに、この幼馴染は欠片も揺らがない。
不満げな晴に対し、風介は態とらしく大きなため息を吐いた。
「何年の付き合いだと思っている。それくらい解るさ」
「………」
押し黙る晴。
ぐっと手を握り締める。
「(…じゃあこの気持ちにも気付けよ、馬鹿野郎)」
悪態はあくまでも心の中だけで、当然彼に伝わる事は無い。
彼は恋愛に関して鈍感なのだから。
それは幼馴染として血判押しても良いと断言出来る程に。
一方、何故嘘泣きなんかをしているのか理由を考えていた風介はというと。
記憶の中、身に覚えが有るそれにああ、と納得した。
「好いた男を試す為か」
「!」
「ちょ、何でバレとるん!?」
「おおお落ち着いてリカさん!」
身を乗り出したリカを慌てて春奈が抑える。
今出て行ったらそれこそ如何なるか!!
「せやかてあそこは優しく慰めるのが普通やろ!?」
「何で、」
「前に愛達が同じ事をやってきたからな」
平然と宣う風介に、晴は胸の奥がすっと凍えていくのを感じた。
そうだった。
彼には自分達以外の女にもモテていて、その筆頭が彼のチームメイト。
あの三人は陰で涼野風介専用ハーレムと呼ばれている程に彼の寵愛を受け、同時に彼を愛しているのだ。
幼馴染とは云えライバルとして接している自分達が敵う確率は正直低い。
もどかしく悔しい気持ちに幾度泣き叫びたくなったか。
それなのにそれすら知らぬこの男は抜け抜けと吐かしやがった。
「すまなかったな、私が来て。まぁ頑張るが良い」
「てめっ…!!」
てめぇだよ試したのは!!
もう半ばやけくそで声を荒げようとした晴より先に風介がちらりと振り返る。
「君の涙は充分魅力的だからね」
晴は固まった。
リカ達も動きを止める。
大きく目を瞠る晴に不思議がりながらも、最後まで頬の涙を拭ってくれないまま、風介は今度こそ帰っていった。
残されたのは、未だ硬直から抜け出せない七人の女子達。
「……え、っと…」
「何、今の言葉…」
「涼野くんって天然誑し…?」
秋、夏未、冬花が口々に言う。
ひくりと口の端を引き攣らせつつ、俯いたっきりの晴を覗き見た搭子はぎょっとした。
晴は顔を髪と同じくらい真っ赤にして、本当に泣いていたのだ。
*****
完成出来ない…!!
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