□真っ赤な君に口付けを
1ページ/2ページ


時々、酷く不安になる。

「ガゼル様、」
「ん、どうした?」
「…私のこと、嫌いですか?」
「嫌いな訳が無いだろう。何故そんな事を言う?」

即答してから、少しだけ眉を顰めるガゼル様に、出掛かった言葉を必死で飲み込んだ。

「(…だって、)」

好き、の言葉を、久しく聞いていないから…。
なんて言える筈も無くて。
黙り込んだ私の頭をそっと撫でる手に恐る恐る顔を上げれば、困ったような微笑みにかち合った。
綺麗な手が頬へ下りて、今度は触れるだけ。

「いいか、リオーネ。『嫌いか?』と問われれば否定しか言えないんだ」
「?」
「『好きか』と問えば良い」
「………」
「それならば『愛してる』と応えられる」
「!!」

途端に固まった体を抱き寄せた。



真っ赤な君に口付けを
(あ、ぅ…私も、あいしてます…!)(知ってる)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ