□深愛心中
1ページ/2ページ


手を離せ、とバーンが言う。
嫌だ、と私は首を振った。

「お前まで道連れにされんぞ」

知っているさ。
でも、だからこそ。

「ちっ…」

舌打ちがどこか遠く聞こえる。
私は繋いだ手に力を込めた。
以前と比べてとても細くなっている彼女の手。

「この子は、クララは、私無しでは生きられない」

そんな風にしたのは、私。
愛しいからと言って過剰に注ぎすぎた。
なら、責任を果たすのは、当たり前のことだろう?
きっとこれもダメにする一因になる。
…それでも、私は慣れすぎた。
この子にも慣れさせすぎた。
もう戻れないんだ。

「他の奴らはどうすんだよ」

………。
アイキュー達は…大丈夫だ。
私無しでも生きていける。
でも、クララは無理なんだ。

「…そうかよ」

ああ。

「…何も言わねぇぞ、俺は。勝手にしやがれ」

…ああ。
最期まですまなかったな。

「うるせぇ」

それ、グランにも言われたぞ。
うるさい、嫌だ、聞きたくないと。
…泣きそうな顔までそっくりだ。



深愛心中
(らしくないとわかっているけれど、ね)(出来るならば、また来世で――)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ