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□これでも仲良し!…?
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相手の技を打ち破り、強力なパワーを保ったままゴールへ突き刺さったボール。
直後、試合終了のホイッスルが鳴り響き、雷門サッカー部勝利を実況の角馬が高らかに告げた。

「やったなヒロトー!」

きらきらと瞳を輝かせ満面の笑顔を浮かべた円堂が、先程流星ブレードを炸裂させたヒロトへ駆け寄る。
そして、ヒロトが身構える暇も与えずがばっと抱き着いた。

「、………!?」

固まった。
そりゃもうピシッと固まった。
限界にまで瞠られた目に気持ち悪いと内心零しながらも、晴矢は顔の前で手を振ってみる。

「おい、ヒロト?」

応答無し。
まるで屍のようだ。
円堂にそんまま動くなよーと声をかけ、晴矢は風介を呼び寄せる。
一人無関係貫かせるか道連れだ。
無言のそれの意を悟りつつ瞳を不機嫌そうに細め、それでも気怠げに隣へ来た風介へ言う。

「…風介、ヒロト正気に戻させたらダッツ十個」
「正気は無理だが意識を戻させるのならそれで承知した」

そう淡々と言って、風介は相変わらずの無表情で円堂の後ろ、ヒロトの前に立ち。
手を振り上げ、誰かがそれを止めようとする暇も与えずにヒロトの左頬を叩いた。
浮気した彼氏に平手を打つ彼女の如く。
パンッという短くも大きな鋭い音が余計痛さを表していると感じるのは錯覚だろうか…。
一歩、四人以外の全員が四人から引いた。

「…はっ!え、痛い?」
「おいヒロト、円堂守がお前のこと愛してると」
「ほほほほほほ本当かい円堂くん!?」
「最後まで聞け馬鹿」
「違うに決まってんだろ馬鹿」
「あだっ!酷い!」
「何処がだ」
「存在!」
「うぜぇ」
「さぁ晴矢ダッツをよこせ」
「わーってるってつか空気読めよそれと後でに決まってんだろヒロトと同類かお前はっ!」
「失敬な」
「ねぇ風介それ僕に酷くない?」
「酷くない」
「なぁ、俺いつまで抱き着いてれば良いんだー?」
「ああ、すまねぇな。もう良いぞ」
「えーっ!」
「ヒロト煩い」

これが雷門サッカー部、元3トップを引き抜いた時からの日常である。



これでも仲良し!…?
(はぁ?これが仲良しに見えんのかよ)(ただの腐れ縁だ)(二人共素直じゃないなぁ…)
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