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*続き物。
*レイトンの娘。思春期盛り。






朝8時。遅刻。スクールバスはもう行ってしまった。
今年で中学に入るなまえ。
彼女の父嫌いはさらに拍車をかけていった。だけど今回ばかりは父親を頼る以外なさそうだ。


「送って行くから早く乗りなさい」

「なまえ、ほら。パパの言うこと聞いて」

「でも」

「でもじゃない。早くしないとパパもなまえも遅刻しちゃうでしょ」


母親クレアに促され、なまえは渋々車に乗り込んだ。
すると、レイトン自慢の車はブォンと派手な音をたて、道路を走る。レトロにも程があるだろう。すれ違う車とのあからさまなギャップに恥ずかしくなる。指をさされて笑われているような気がする。
そう思い始めると、一層身を丸くして縮みこんでしまう。
と同時に、父親への憎悪感。なんでまだこんなにダサい車に乗っているのか。父親の気が知れなかった。




****



昼休み、学食に向かう。


「なまえ、なに食べる?」

「私はオムライスかな。シェリーは?」

「じゃ私もそうしよっ」


トレーを掴み、列に並ぶ。と共に愚痴開始。
話題はもちろんあの父親のこと。


「でね、今朝ったらだっさい車で学校来たんだよ!?
ほんと有り得ない!!」

「ふーん。なまえは反抗期バリバリだね。うちはまだ全然だなぁ」

「そりゃだってシェリーのお父さん優しそうだし」


私もシェリーのお父さんみたいなお父さんが良かったと文句を垂れる。
オムライスを受け取り、お金を払う。
シェリーもそれに続く。
空席に座って、オムライスのケチャップをスプーンで広げる。


「優しくなんかないよ!!
なまえのパパの方が優しいし、格好いいよ。しかも大学教授―」
「あ、先生の話?」

「…トライトン。何の用」


私の隣に座るルーク・トライトン。幼少期は父親とよく旅に出ていたらしい。ある時引っ越してしまい、最近戻ってきた。…奴もオムライスだ。


「別に。先生の話してたから何かなぁと思っただけだよなまえ」

「気安く呼ばないでくれる?」

「前はルークって呼んでくれたのに…」

「う、うるさいっ!!どっか行きなさいよ!!」


シッシと手を払うと、トライトンは肩を竦めて他のテーブルに移った。
…名前で呼び合ったりして、変な噂がたったらどうするのよ…。
深い溜め息を一つ。


「お疲れのようね」


シェリーに頭を撫でられる。少しくすぐったい。
思えば、私はトライトンと父親についてあまり知らなかった。気になってしまったらなかなか興味は無くならない。
…パパに、聞いてみようか。
駄目、最近口もきいてないからどう声をかけたらいいのか分からない。
トライトンに聞いてみよう。思い立ったらすぐ行動。ただ、直接は気まずいからメールで。


「送信完了っと…」


今日の放課後。それが勝負。シェリーはいきなり携帯を取り出した私に驚いていたが、しばらくしてオムライスを食べ始めた。


「さぁて、私も食べよっ」

「おわ、元気になった」


オムライスをかけこんで、チキンライスが器官に詰まって咳き込む。いけない、いけない。
気を取り直して水を飲み、また食べ続けた。






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