あなたと
□02.アナタの名前は
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あれもいいけどこれもいい。
どうしよう。決められないな、
アナタの名前は
「…思い付かない」
ここは私の部屋、のベッドの上。目の前には相棒となる子猫ちゃん。
うんうんと先程から唸っているが、なかなか思いつかない。
『…眠い』
猫ちゃんが言うのも無理はない。
只今0時45分。
夕飯が食べ終わった8時頃からずっとにらめっこだ。動物の言葉が分かるって事は決めてから伝えたい。
(…早く考えないとこの先困るし)
そう思い、自分に鞭を打ちながらこの猫ちゃんの名前を考えている。
猫ちゃんはもう眠気で落ちそうだ。
『あ……くる』
「アクル!??」
アクル、アクル、アクル。うん、いいかも。
そんな私をみたアクルは、ポカンとした様子で私を見つめる。
『アクル。それがあなたの名前ね!!』
『え?』
やっと決まった。ふぅと一息吐いて、寝る体勢に入る。
じゃあ最後にネタバレして寝よう。
『私は動物の言葉が理解できて話せるの。
今更だけど、私の名前はフレア・ドーランド、宜しくね。んじゃお休み!!』
一気に猫語でまくし立てると、ベッドに潜り込み、そのまま意識を手放した。
<は?いや、え、>
脳の許容範囲を越えたため、は、とか、え、しか言葉が出ないアクルを放って、私は安らかな眠りについた。
<タチの悪い主人だ…>
アクルのぼやきはフレアに勿論聞こえなかった。
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