あなたと

□14.シラナイのにシッテイル
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あれ?何かこれ、
見たことがある気がする。
感じたことがある気がする。
でも実際は、見たことも感じたことも無いわけで。
この現象は、なに?



シラナイのにシッテイル





あれから私は退院し、これからどうしようかと考えていると、校長からのお呼び出しがかかった。

呼び出される理由は、分かってる。
私が力を…つかってしまったから。


ふと校長室にくれば、一つの疑問が胸をよぎる。


「……合い言葉は?」


以前来たときは自然と開いた。
マグルにはそういったドアがあるって聞いたな。
マグルってこの魔法界よりも優れていたりして…学校でたらマグルに住もうかな。
悶々と考えていると、ドアが思い出したかの様に開いた。


その先へ誘われるようにして入ると、そこには優雅に紅茶を啜る校長の姿があった。


「おぉフレア来たかの」


ぱぁっと溢れんばかりに輝く校長の笑顔を見て、私はつい後ろめたさから俯いてしまった。


それを察してか校長は静かに言葉を紡ぐ。


「呼び出された理由は…分かっとるんじゃろう?」

「…はい」


こうべを垂れながら言う。
事の重大さから、私は校長の真っ直ぐな瞳が見れなかった。
だけど、ちゃんと見なきゃ。ガバッと顔を上げる。


「…わ、私、もうホグワーツに未練はありません。だから、退学でも何でもしてください!」


…言ってやった。
本当は未練タラタラだけど、私は此処から出ないといけない。
だけど、校長の口から出てきたのは肯定の言葉でなく、否定の言葉。
どうして?私はこんなにも恐ろしい力を持っているのに。
次に出る被害とかもあるかもしれないのに…。


「…フレア、そうやって独りになろうとするのはやめなさい。ホグワーツには、フレアが大切に想う友がいるのじゃろう?
例えフレアが恐ろしい力をもっていても、友の前では叶わない筈じゃ」


にこり、と校長は笑う。
その笑顔を合図に、校長の後ろから布をどかす音と嗚咽が聞こえた。


「フレア〜!!」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったリリーが飛び込んできた。
その威力は私ごとソファーを倒すというもの。



「ぐす、…じ……じんばいじだんだがらぁ!」


うぁぁぁぁ、と肩を揺さぶられながら泣くリリー。
ちょ、加減…力加減の方宜しくお願いします!!
川が、川が見えてきてるよ…


「おぃ、エバンズ…それ以上やるとフレア死ぬぞ」


リリーの暴走を止めてくれる天使が舞い降りたのか…。
え、私を迎えに来ただって?
うん…行くからそんなに顔引っ張んないで、痛いから……いひゃいいひゃいいひゃい!


「痛いよ天使様!」

「お前が起きねぇからじゃねぇか!!後天使様ってどういう事だ!!」


一気に大声でまくし立てるシリウス。
なぁんだ。天使様かと思ったのに。あれ、天使様じゃなくて良かったのか?


「…ご想像にお任せします」

「ちょ、お前今めんどくさがったな!?ちゃんと説明しろよ!!」


ギャーギャーと校長とその他を忘れ、騒ぐ二人。
それを遠巻きに見ていたリリーとジェームズは呆然としていた。


((二人ってこんなにも仲良かったっけか?))





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