修業編
□11.弟子
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「軍を恨んでいるのか?」
「恨んでいないとは言えません。」
ギランの手が少し震えた。
「…でも、もう終わってしまったことです。」
ギランはあきらめたように、宙を見つめた。
家族を…。リザはギランの印象がどこか暗い理由が分かった気がした。
「では、どうして錬金術を学びたい?」
「錬金術は大衆のために。…私は師匠の錬金術のもつ巨大な焔の力は、石炭やガスなどのエネルギー資源に負けない、次世代のエネルギーになると思っています。」
「師匠の錬金術を学び、それをもとに独自の研究を重ねて、必ず大衆のための錬金術を産み出そうと考えています。」
ホークアイはニヤリと笑って、頬杖をついた。
「用意してきたような答えだな。」
ギランは言葉につまるが、あきらめずホークアイの目を真っすぐに見つめた。
ホークアイは突然言った。
「リザ、マスタングを呼んでこい。」
「え?」
いきなり自分の名前を呼ばれてリザはびっくりした。
「自分の部屋か書庫にでもいるだろう。呼んでこい。」
ホークアイはリザの顔も見ずに言った。
「はい。」
リザは返事をして部屋を出た。