修業編
□16.最後の課題
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夕食の後、いつもならすぐに部屋へ行ってしまうホークアイが珍しく席についたままでいる。
リザは不思議に思いながらも紅茶を煎れて皆に出した。
紅茶の良い匂いが漂い、ホークアイはそれを一口飲む。
そして口を開いた。
「二人には数々の課題を出してきたが…。
次の課題が最後の課題になる。」
いきなり課題の話になり、ロイとギランの顔は引き締まる。
二人はホークアイを見て、はい。と返事をした。
「今までは二人で協力しあい、課題に取り組むことを許してきたが、今回は個々でやってほしい。
そして、その課題の出来のいい方に秘伝を継承する可能性を与える。」
ホークアイは二人を見比べて言う。
「最後の課題とは。『人体錬成』だ。」
ガタンと椅子を鳴らし、ギランが立ち上がりかかる。
「師匠…」
「それは禁忌です。師匠。」
そう言ったのはロイだ。
ロイもまた動揺を隠せない。
ホークアイは薄く笑った。
「そんなことはわかっている。…なにも実際に人体錬成をしろなどとは言っていない。
理論を組み立て、構築式を作れ。
そして自分の最も近しい人間が死に至ったと仮定し、『人体錬成』を行うか行わないか、答えをだせ。」
「そんな…」
ギランは絶句している。