士官学校編

□16.記憶の愛撫
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リザの顔が一瞬罪悪感を滲ませたことにスティングレイは気付いただろうか?
リザにはわからなかった。

「一緒にシャワー浴びるか?」

冗談めかしてスティングレイが言った言葉にリザは再び動揺を隠せない。

「…んと正直な奴。」

スティングレイは優しく笑った。

「一緒にシャワーなんか浴びたら、背中隠せないもんな。」

スティングレイは訳も聞かずに、リザの背中に気を使ってくれる。

そしてスティングレイは畳んだTシャツをリザに差し出す。

「俺のだけど、濡れたの着てるよりマシだろ。良かったらシャワーも使っていいぞ。」

「…シャワーはいいです。Tシャツお借りします。あの…」

「ああ。そこのドアが寝室だから、そっちで着替えるといい。」

スティングレイに促され、リザは寝室へ。

スティングレイの気遣いに感謝しながらリザは着替える。





…そんな間にも、一緒の隙をついて記憶はリザを苦しめにかかる。

ねぇあの美しい手に触れられて、ロイは至福を感じるのだろうか?

…知ってたくせに。

彼があの時のまま、変わらずにいるわけがないと。





「着替え。終わった?」

ノックの音にハッとする。

「はい。」

リザが答えると、スティングレイは寝室のドアを開けた。





リザはスティングレイの顔を見つめる。

彼の瞳は、リザの中では眩しい程の現実だ。
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