士官学校編
□30.彼を愛した人達
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「ねぇ。おばあちゃん。ダグラスさん今頃何してるかな?元気かな?」
夕食を食べる手を止めて、ウィンリィはピナコに尋ねた。
「知るかい。あの男の事だ。元気に決まってるだろ。」
アルフォンスはシチューの最後の一掬いを口に入れてから、ニコニコと嬉しそうに笑った。
「きっとばっちゃんのシチューが恋しくなってる頃だよ。」
「そうよね!ダグラスさんシチューの時は一人で三人前は食べてたもん。…早くまた会いたいなぁ。」
「どうせ定期検診にまた来るんだろ。」
とエドワード。
「来なかったら、ぶちのめすと言ってあるからね。…イシュウ゛ァール戦争が終わったらすぐにでも来るだろうよ。」
ピナコはキセルに火を付けた。
「そしたら父さんと母さんも帰ってくるもんね。皆で夕食食べたいな。」
「いいね!皆で食べようよ。」
「げっ!あの野郎も一緒にかよー!あいつ口煩いからな…。」
ウィンリィは笑う。
「いいじゃない!エド!私達はみんな家族なんだから!!」
温かいリゼンブールの小さなダイニングルームで、とても幸せな会話が繰り広げられていた。
それをスティングレイは聞いていたのか。
いなかったのか…。
コルクボードに張ってある彼の写真は、新しい機械鎧を付けてわざとらしくガッツポーズをして笑っていた。
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