士官学校編

□30.彼を愛した人達
5ページ/5ページ







「ねぇ。おばあちゃん。ダグラスさん今頃何してるかな?元気かな?」

夕食を食べる手を止めて、ウィンリィはピナコに尋ねた。

「知るかい。あの男の事だ。元気に決まってるだろ。」

アルフォンスはシチューの最後の一掬いを口に入れてから、ニコニコと嬉しそうに笑った。

「きっとばっちゃんのシチューが恋しくなってる頃だよ。」

「そうよね!ダグラスさんシチューの時は一人で三人前は食べてたもん。…早くまた会いたいなぁ。」

「どうせ定期検診にまた来るんだろ。」

とエドワード。

「来なかったら、ぶちのめすと言ってあるからね。…イシュウ゛ァール戦争が終わったらすぐにでも来るだろうよ。」

ピナコはキセルに火を付けた。

「そしたら父さんと母さんも帰ってくるもんね。皆で夕食食べたいな。」

「いいね!皆で食べようよ。」

「げっ!あの野郎も一緒にかよー!あいつ口煩いからな…。」

ウィンリィは笑う。

「いいじゃない!エド!私達はみんな家族なんだから!!」





温かいリゼンブールの小さなダイニングルームで、とても幸せな会話が繰り広げられていた。



それをスティングレイは聞いていたのか。
いなかったのか…。

コルクボードに張ってある彼の写真は、新しい機械鎧を付けてわざとらしくガッツポーズをして笑っていた。





.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ