士官学校編

□7.怒
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ガヤガヤと人の声。
ガチャガチャと食器の合わさる音。

色々な料理の交じった匂い。

騒がしい食堂の隅でリザは朝食をとっている。

そのリザを遠くからこっそりと見る人もいれば、近くでしげしげと眺める人もいた。

ヒソヒソ話にもリザは意を介さずに、黙々とパンとスープを口に運んでいる。

彼女の頬には、大きなガーゼがテープで貼り付けてある。

青く変色している部分が少しガーゼからはみ出ていた。

唇の端の傷はなんの覆いもなく剥き出しになっているが、かさぶたになって痛々しく腫れ上がっている。

ガーゼを剥がせば、患部はもっと痛々しい。

むしろ見た目で言えば昨日よりも酷くなっていた。

ふとリザを照らしていた窓からの光が、目の前にやってきた人の影で遮ぎられる。

その気配にリザは顔を上げた。

「おはようございます。」

スティングレイは険しい顔で挨拶の返事もしない。

「その顔はどうしたんだ。」

低く、怒りを抑えた声だ。

リザが見るとスティングレイの顔は、いつもの緩い顔では無い。

今にも怒りが爆発しそうな表情は、リザを不安にさせる程だった。

「…。転んだんです。」

少し無理があるか。

リザは自分の嘘の下手さに内心呆れるが表情を変える訳にはいかない。
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