修業編

□5.彼女の仕事
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――本当は講師なんて柄ではないのよね。

新人研修の特別講師として来てくれと前々から頼まれていたのだが、何かと理由をつけて断っていた。

前に一度、銃の扱いについての講師を引き受けた時に思いのほか評判が良かったのだ。
それから度々声がかかるようになった。

―私が人に何かを教えるなんて…

リザは考える。

それほどの影響力があるとは思えないが、自分の教えたことで相手の人生に何かしら影響を与えるのがいやだった。


今は休憩時間。

…でも、今日はロイに会わずにすむ仕事がこれ以外思いつかなかった。


今頃は今日のデートの相手を物色中、ってところかしらね。

執務室で電話をしているロイを思い浮かべる。



私は仕事で気持ちを紛らわすことしかできないから。


他の男性でロイを忘れようかと考えたこともあった。

でも…、やはり男と女では違うわね。

嫌悪感の方が先にたってしまって他の男性と何か、なんて気にはなれなかった。


―…何故こんな風になってしまったのだろう。

自然にしていたら、私たちは必ず近づいてしまう。

求め合ってしまう。

でも私はあの人を護り続ける為に、軍人であり続けなければならない。


ただのあの人の女に成り下がってしまえば、

あの人を守ることも、

盾になって死ぬことも、

またあの人を殺すこともできなくなってしまう
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