短編小説

□美しい未来
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灼熱の太陽。

じりじりと肌を焼く。

砂埃が舞い、髪の毛も顔も手も、常にざらざらと砂が纏わりついてくる。

前を見ても後ろを見ても、砂と岩しかない。

何もない。

死にゆく土地。

殺される人々。

殺された人々。





そんな中で友は言った。

『俺の美しい未来だ。』





戦場に届いた手紙を、友はまるで宝石のように大切に持っていた。

とても羨ましかったのを覚えている。

愛する人を力の限り愛せる彼を。

彼を待っている人がいるということを。
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