士官学校編
□1.夜
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…あの頃の若い自分は、なんて無知だったのだろう。
…唇は離れていくものなのだと、この躯の繋がりも今一時のものだと、今はよく判っている。
ロイは強く深くリザを突き上げる。
「ああっ!…。…」
ロイは苛立ちを隠さずにリザを見つめている。
無言のままにロイは、縛られ、頭の上に押さえつけられているリザの腕の内側に噛みついた。
「……いっ!」
あまりの痛さに声を上げる。
だがもはや痛みの為の悲鳴なのか、快楽の為の悲鳴なのかはリザにもわからなかった。
くっきりと歯形が残るリザの白い肌を満足そうに見下ろすロイ。
噛まれた唇から血が滲み出て、ロイは自身の唇をぺろりと舐めた。
その姿はまるで飢えた黒豹の様だ。
強引に求められて、次の瞬間には遠ざけられる。
今晩だけでもう何度目の交わりになるのだろう?
その欲望に終わりはない。
「ああ…っ。あっ…あ…」
リザはもはや訳が分からなくなってただロイが与える快楽になす術もなくなる。
奪われ、責められる。
躯は繋がっていても、お互いの心同士が繋がり合いたいと悲鳴をあげている。
その悲鳴に二人は気付かぬ振りをして、ただただお互いの躯を貪り合う。
…やがて耐えきれずにリザが気を失ってしまうまで。