士官学校編
□4.立ち止まる
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リザは自分の手のひらを見つめた。
日頃の訓練で、すっかり荒れてささくれ立ち、豆だらけの手。
…この手で、私は誰かを守ることができるのだろうか?
「よう、暇人。」
リザが振り向き見上げると、声の主の短い金色の髪が太陽の光に透けて見える。
「何してんだ?こんなところで。」
「何かしているように見えますか?」
リザは仕方無しに答える。
「見えない。」
「だったら聞かないで下さい。」
「ホントにかわいくねぇな〜。お前は。」
「余計なお世話です!」
「おお。なんか苛々してるな。…足大丈夫なのか?」
やはり誰かから聞いたらしい。
昨日の訓練時、スティングレイ教官はいなかった。
「…全治二週間です。」
スティングレイはリザの隣に座った。
「見たかったな。レベッカ・カタリナとの大喧嘩。」
「誰から聞いたんですか?話が大きくなっているんです。…別に大喧嘩なんか…。」
「カタリナは、ホークアイの仮面を剥がしかけた訳だ。」
「仮面?」
スティングレイは横目で笑った。
「かぶってるだろ?…仮面。」
「…。」
リザは思いも寄らぬスティングレイの言葉に微かに動揺する。
だが、リザも負けずに返した。
「仮面なら、スティングレイ教官も被っていますよね?」