士官学校編
□5.侮辱
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「ホークアイ。時間があるなら、少し頼まれてくれないか?」
ディオは嘘っぽい愛想笑いを浮かべる。
教官にそう言われて、リザに断れるはずもない。
ディオはリザを教士官棟の自分の部屋へ連れて行った。
ディオの部屋には机と本棚、ソファーと、焦げたポールハンガーがあった。
部屋の隅にはダンボールに入った書籍が何箱か雑に積み上げられている。
ディオは後から入ってきたリザを見て言った。
「この荷物を全部図書室に戻してきてくれ。」
図書室は違う棟にある。
階段も使わなければならないし、怪我をしたリザには難儀な筈の作業だった。
ディオは、リザの表情の変化を期待する。
不服そうでも良い。
困った顔でも、憤った顔でも良かった。
だがリザの表情はこれと言って変わらない。
まるで何て言う事もない様に、リザは頷いた。
「わかりました。」
リザはダンボールからはみ出した書籍等の整理をし始めた。
ディオは、そんなリザの態度に憤慨して、リザの左足首を後ろから思い切り蹴りつけた。
「…っ!」
突然の激痛に、リザはバランスを崩すが、辛うじてダンボールに手をつき、倒れる事は免れる。
「何をするんですか!?」
リザは振り向き、ディオを睨んだ。