士官学校編
□7.怒
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「よう。…片腕のスティングレイ。」
ディオは薄笑いでスティングレイを見るが、その次の瞬間にその笑みは凍りついた。
スティングレイは何も言わずに、左手でディオの胸倉を掴むと、ディオの眉間に勢い良く頭突きをした。
ガツンという鈍い音がして、ディオの眉間が割れて血がほとばしる。
一気に周りは騒然として、中には悲鳴をあげる女生徒の声もあった。
ディオの足元がよろけると、スティングレイは胸倉を掴んだままディオを床に叩き付ける。
「貴様…。こんな事をしてただで済むと…」
呻くディオの体の上に乗り、胸倉から手を離す。
そして左手の拳で思い切りディオの顔を殴る。
ディオの歯が折れたのか、口の中から血が溢れる。
「が…。ちょ…待て。」
息を荒くしながら、スティングレイは上着の下に付けたガンホルダーから銃を取り出し、銃口をディオの口の中に突っ込んだ。
「はが…が…。」
ディオは目を白黒させて、何か言おうともがいている。
スティングレイは怒りに任せてそのままカチリと撃鉄を起こす。
「スティングレイ教官!!」
そう叫んだリザの横を見慣れた横顔が走り抜けていった。
リザが密かに懇意にしている食堂で働く初老の女性職員だ。
手にはバケツを下げている。
バッシャーン!
今にも引き金を引きそうなスティングレイと、ディオの頭上から勢い良く氷水が被せられた。
「スティングレイ!!目を覚ませ!何をやってるんだ!!」