士官学校編
□12.罪の形
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…テントが風ではためく。
薄暗いテントの中。
誰の声も、何の音もしない。
ここに居る二人は、音も無しに深く唇を合わせていた。
リザが僅かに身じろぎをすると、音の無いテント内にはその音が響く。
スティングレイがチュッという音を立てて、唇を離すと、今度はついばむ様に何度がまた音を立ててキスをする。
リザの唇は柔らかく、ほんの少し震えていた。
ティングレイの唇に戸惑う彼女の唇は、会話をしている時の彼女がそうであるように、控えめに、だが可能な限り誠実に応えようとしている。
「スティングレイ教官…。」
キスの合間に、リザは彼の名を呼ぶ。
スティングレイはその後に続く言葉を聞きたくなくて、リザの口に蓋をするようにキスをした。
リザは抗わなかった。
スティングレイは安堵し、左手に握ったリザの手を、しっかりと握りなおした。