士官学校編

□18.リゼンブール
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空が高い。

ちょうど良い具合に湿気を含み、木と草と牧場の匂いが混じったような味のある空気。

いつもの中央の空気はなんと味気ないものだったのかと、ここへ来てみてよくわかった。

砂利で簡単にしか舗装されていない道を歩く。

…ここは良い所だ。

スティングレイは歩きながら、顔が思わず綻んでしまうのを止められない。

これではにやけて歩く不気味な余所者だ。





「兄ちゃん、見ない顔だね?こんな時期に観光かい?」

馬車にのった年配の男が話しかけてくる。

田舎町ならではの気さくな感じだ。

中央では道で行き合った人間に声などかけない。

「いえ。義肢装具のロックベルさんを訪ねてきたんです。こっちの方面であってるかな?」

「ああ。ピナコさんとこか。合ってるよ。このまま真っ直ぐだ。乗ってくかい?…まあ、この荷台の干し草と一緒で良ければだが。」

なんて無防備!!

どこの誰かもわからない男を馬車に乗せるなんて!!

長い軍属の生活でいつの間にか人を疑ってかかる癖がついてしまっているのだ。

そしてその生活の中ではそれに気付くこともなかった。

「ありがたい。お願いします。」

返事をする前に既に馬車は彼を乗せる気で止まっている。

馬車に持っていた荷物を乗せ、そしてスティングレイも乗り込んだ。





リゼンブール!

田舎町!

ここは良い処だ!
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