士官学校編
□24.電話で
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「ごめんな!ウィンリィ!何ともないから!俺大袈裟なだけだから…ってイテテテテ!ピナコさんー!なんか恨みこめてます?」
「うるさい!」
「おばあちゃん。ダグラスさん大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。ウィンリィ。男は痛みに弱くて嫌になるね。」
そう言いつつ、ピナコはスティングレイの動かない方の腕を持ち上げる。
骨が折れたのは、動かない為に落下時に対応できなかった右腕だった。
「どうせ動かない腕です。適当に処置してもらえれば…」
ピナコは黙ってスティングレイの右腕を見ながら考え込んでいる。
スティングレイは一人続ける。
「…。…ピナコさん、俺考えたんです。」
「その頭で考えることなんざ、ロクな事じゃないんだろうね?」
ピナコは顔も上げずに言う。
「そうでもないですよ。…やはり機械鎧は軍事専門の店に頼もうと思います。」
「ほらやっぱりロクでもない。一応理由を聞いてやろうか?」
「今更気がついたのでは遅いのですが…。貴女に人をを殺す為の機械鎧を造らせる訳にはいかない。」
「人を殺す為…じゃないだろう?あんたは人を護りたい、救いたいと言った。」
「確かにそうです。だが…」
「戦場に出て、人を殺さずに済むとはアタシも思っちゃいないよ。…あんたが行く戦場ってのは、そんなに甘っちょろい所じゃないんだろう。」
「…俺の機械鎧なんか造ったら、この店の名折れになります。」
ピナコは患部を見ていた視線をスティングレイの顔の方に向ける。
そして鋭い眼光で彼を睨みつけた。
「生意気な奴だね!何が名折れになるかなんて、あんたみたいな若造にわかるもんかい。」
「すいません。」
「あんたが戦場から逃げたくないと言うように…」
ピナコはスティングレイの折れた腕を叩いた。
「痛てっ!!」
「アタシだって、目の前の患者から逃げる訳にはいかないね!」
じんじんと痛む腕に目眩を起こしつつ、スティングレイは耳を疑った。
「誰かが造らなきゃならないんだろう?お前の機械鎧を。」
「…はい。」
「アタシは嫌な仕事を他のモンに押し付ける程思い上がってないつもりだ。」
「…でも…あの。」
「ハッキリしない奴だ!造って貰いたいのかい?造って貰いたくないのかい?」