士官学校編

□31.その死の後に
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意外そうにハルは言う。

「その為に周囲との軋轢はなるべく少なくするってこと?…さっきの上官に対する態度もそうだったけど…。…君変わったね。」

「そうかしら。」

リザは感情を抑えた、低い声で答える。

「以前の君は何というか、もっとおキレイだった。」

リザは少し黙ってそのハルの言葉について少しの間考えた。

「そうね。何に対しても考えが甘かったのかも。」

ハルは見定める様に、上目遣いでリザの顔を見る。

「ふーん。…君の事は他の隊でも噂の的だ。『鷹の眼』。」

「………。」

「このあだ名は嫌い?」

「…あまりね。」

「生憎だね。…君にピッタリだよ。」

リザは溜息をついた。

「…貴方は相変わらず余計な事を色々と喋るのね。ブラウン。」

ハルは「うん?」と顔を上げて、長いくせ毛の前髪の間から、視線をリザと合わせる。

「…何について調べているの?」

「さあね。」

「…スティングレイ教官に関する事?」

ハルの表情がピクリと動く。
彼もまたスティングレイの死に依然として慣れていない。

「何故そう思う?」

「何となく。」

「ちょっと気になる事があってね。こちらの隊の方も関係してそうだったから。」

ハルは先程奪ってきたらしい書類を懐から取り出す。

そしてその内容を読みはじめた。

「…。…ふーん。」

ハルはそれを見ながらふんふんと頷く。

リザがそれを覗き込むと、それは名簿の様なものだった。

「何なの?」

「スティングレイが死んだあの日に近辺の区域で稼動していた隊、及びその隊の司令官、責任者、平隊員までみんなリストアップしてるんだ。…これはここの隊のだよ。」

ハルはリザにその資料を見せる。

そこにはあの日稼動した隊の名前や兵士の名前まで詳細に書かれていた。

「…。」

「この日、担当区域『外』のマラーダ西区に、結構な人数が借り出されてるね。」

リザは頷く。
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