士官学校編

□33.新しい命
1ページ/5ページ







―――…………。

…リザ。君との再会は本当に悪夢だった。

おかげで私はこんな非道い言葉を親友に投げつける事になった。






「その血で汚れた手で惚れた女を抱きしめるのか。」




それはむしろ自分に向けられた言葉だった。

もう自分は誰かを愛する資格は無いのだと、誰かを抱きしめる事など許されない事なのだと、口に出して自分に知らしめたかったのだ。

…見えない血にまみれた自分の両手心から畏怖し嫌悪した。





…昔から、君への感情は呆れるくらいに誤魔化しがきかない。

変わらない。

変わらないんだよ。
消したくても消せやしない。
そして絶対に消したくない。





…なぁ。
君が軍人という道を選んだのは、あの頃の私が強く君に影響を与えた為なのだろうか。

そうだとすれば私は君に謝罪しない訳にはいかない。

軍人。
…私が言うのもなんだが最悪だろう。

軍はこの国の人々の為にあるのか。

それとも人々が軍の為にあるのか。

判らなくなるだろう。

そうだ。
青い理想は脆く打ち砕かれたのだ。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ