企画用
□夜明け
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―…君は一切の躊躇いも見せずに私に君の全てをさらけ出す
そして、君は君の持ちうる全てのものに頓着を見せず、まるでそれが当たり前のように私に差し出すのだ
君を誰よりも愛おしく思う
誰よりもだ
この世界に生きる誰よりも
幸福になって欲しいと、満たされて欲しいと、願ってしまうのだ
君に言ったら、きっと叱られる事だろう
君は言う
貴方は個人の幸福など願ってはいけないのだ、と
貴方は全ての人々の幸福を分け隔てなく願い、高い理想の基に人々の上に立つ事を生涯の目標とする人間なのだから、と
君は欲の無い瞳でそう言い微笑むのだろう
君が綺麗なのは何も求めていないからなのだろうか
何故そんな風に居られるのか
私は
私には分かる
傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲
全ての欲を罪を私は理解する
欲するのだ
どうしようもなく
君を、
君が属する世界の全てを
そして、君は気付いているだろうか
私は君から搾取し、得る事でしか君の側に居られない
いつか…
私は君の全てを貪り尽くす
君は迷う事なく私に全てを差し出すだろう
そして君は、いつか消えて私の前から居なくなってしまうのではないだろうか
そんな恐怖に慄きながらも、…私は君から離れられずにいるのだ
おそらく、これからも、ずっと…
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