企画用
□顔真っ赤にして否定されても
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(ロイ修業時の話、二人は付き合ってません)
私の思い過ごしかもしれないのだが。
私のただの自意識過剰というものなのかもしれないのだが。
だいぶ前に、「女性は髪を伸ばしたりすると雰囲気が変わるよな。」と何かの拍子で話したことがある。
「長い髪が好きなんですか?」
彼女は私にそう尋ねた。
私は反射的に目の前のリザが髪を伸ばした所を想像した。
「そうだな。長い髪もいいなぁ。」
なんて私は言った。
ただの軽口であって、本当は髪型なんてどうでもよくて、彼女のショートカットは本当に可愛らしいと思っていた。
…それからしばらくたつ。
今彼女は常よりも少し長くなった髪を切る気配が無い。
…たまたま髪を切りに行く暇が無いのか。
それともなんとなく髪を伸ばしたくなったのか…
…それとも…、あの時の軽口が彼女の中で…?
私はこう言ってみた。
「最近髪が伸びたね。」
彼女はえ?と言う顔をする。
「そうですか?」
「短い髪も好きだったな。もちろん今も可愛いが。」
少し意地悪だっただろうか。
彼女の髪型がどうであろうと、彼女の可愛さも彼女への気持ちも少しも変わらない。
どっちだって彼女は可愛い。
愛おしくて仕方のないリザ。
だが、つい、…つい。
言ってみたかったのだ。
彼女はどうするだろう?
二、三日後、髪を切って家に戻ってきたリザを見て、私の心臓は一つ高鳴る。
少しばかり浮かれてしまう。
彼女はもしかして…
「リザ。髪を切ってきたのかい。すごくよく似合う。」
リザはほんのり赤い顔をして笑った。
「ありがとうございます。」
「もしかして、私の為に伸ばすのを止めたのかい?」
冗談めかして、さらりと聞いてみる。
さらりとしてただろうか?
少しズバリすぎたか?
リザの顔は一瞬でタコの様に真っ赤になってしまった。
「ち…っ違います!!!もう!何を言ってるんですか?マスタングさん!!」
…顔真っ赤にして否定されても。
泣きそうな顔のリザ。
なんて可愛い!
好きな人にこんな顔をさせて喜ぶ私は悪趣味だろうか?
なぁ。期待してもいいかい?
君も、もしかして君も私に好意を?
…近いうちに君に思いを告げてみてもいいかい?
君はなんて答えてくれるだろう?
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