修業編
□11.弟子
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リザの父親ホークアイは、リビングでギランと話している。
ギランは是非弟子にしてくれと頭を下げ続けている。
ホークアイは首を横に振るばかりで取り付くしまもない。
リザが出した二人分のお茶も、手付かずのままテーブルで冷えていた。
リザはそんな様子をダイニングからヒヤヒヤしながら見守っている。
「前にも言ったと思うが、私にはすでに弟子がいる。その男にも秘伝を授けるか迷っているのだ。…これ以上弟子を増やすつもりはない。」
それでもギランは諦める素振りを見せなかった。
「迷いがあるのでしたら、是非私を弟子にしてください。」
「それでは聞くが、何故お前は私の弟子になりたい?…国家錬金術師にでもなりたいのか?」
ギランはその質問に顔を歪めた。
穏やかな顔の印象が変わる。
「軍の狗になど…!なりたいとは思いません。」
ギランは吐き捨てるように言った。
口にするのも嫌だという感じだ。
「私の家族は国家錬金術師に殺されました。軍に殺されたのです。」
ギランは歯を食いしばるようにして言った。
だが、ホークアイは初めてギランに興味を持ったような表情をした。
ドロリといつもどこを見ているかわからないようなホークアイの目が、ギランの俯いた顔をじっと見ている。