修業編
□17.別れの約束
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最後の課題…。
皆がダイニングから去った後、リザはキッチンで夕食の後片付けをしていた。
皿を洗い、丁寧に拭いて、食器棚にしまう。
シンクを掃除をして、汚れが目に付いた所を濡れた雑巾で拭き取る。
その単調な作業を黙々とこなしながらも、リザの頭の中はある考えに占められていた。
秘伝の入れ墨は完成し、そしてロイとギランも最後の課題を出される段階になった。
最後の課題が終われば、ロイかギランのどちらかに秘伝は継承され、二人はここを出て行く。
ロイは近々、軍入隊の試験を受けると言っていた。
秘伝の継承の有無に関わらず、ロイは軍に入隊するつもりなのだろう。
リザは前から決めていることがあった。
自分の気持ちを知り、ロイの気持ちを知った時から決めていた。
…この恋は、ロイがここにいる間だけのものにしようと。
これから自分の理想を向かい、血眼になって前に進んでいくだろうロイの、足枷にだけにはなりたくなかった。
必ず自分の存在は足枷になってしまう。
ロイには自由に、何事にも左右されることなく進んで行って欲しかった。