修業編
□19.尾行
1ページ/6ページ
「おはようございます。」
次の日の朝、不思議なくらいに普通の顔をしてギランは朝食を食べに部屋から降りてきた。
リザはギランの姿を見て安心したように笑うと、朝食の用意をする。
リザが出した朝食を美味しそうに全部平らげると、リザに「ごちそうさま。」と言って、「ありがとう。」とお礼を付け足した。
リザはにっこり笑って頷く。
ロイも共に朝食を食べながらも特に何も話さず、先に食べ終え部屋に戻って行くギランの後ろ姿を見ただけだった。
その後ギランは用があるからと言って出掛けて行った。
黒い雲が空を覆っている。
今にも雨が降りそうだった。
部屋の中も暗くてどんよりしている。
ロイは自室で課題に取り組んでいた。
リザは掃除を済ませて一息ついた所だ。
「リザ。」
いつの間にか帰ってきていたギランにリザは声をかけられる。
「あ、おかえりなさい。」
ギランは頭がぶつからないように、少し屈むようにしてドアをくぐり抜け、リザのいるリビングに入ってくる。
背が高いギランはよくドアの縁に頭をぶつけていたので、リザはギランが戸口に立つと、注意してじっと見てしまう癖がついていた。