修業編
□22.ある軍人・ロイとホークアイ
1ページ/8ページ
…さて、どうやってロバート・ギランの居所を探ればいいのか。
黒い傘。
背が高く、体格のいいその男は被っている帽子を目深に被り直す。
その帽子はその男の目つきの鋭さを隠していた。
平常時は軍服を着ているが、上司命令で私服で調査に当たっている。
ロバート・ギランという男を監視しろというのが最初の指令だった。
数日彼の修業先であるホークアイ家を見張るがこれといった動きはなかった。
今日、午前中ギランは一人で買い物をし、一回家に帰るとホークアイ家の娘とまた出掛けた。
たいした動きではないと漫然と追けていたら、まんまと巻かれてしまった。
しくじったと思った時はもう遅い。
巻かれたということは、ギランは監視に気付いていて、尚かつ何かしようとしているということだ。
とんだヘマだった。
上司に報告すると、不可解なことにホークアイ家の娘誘拐の容疑でロバート・ギランを追えという。
監視していた状況では誘拐という感じではなかったと上司に報告すると、
「口出しをするな。黙って命令に従え。」
と一蹴された。
確かにギランは以前に裏の武器販売業者から拳銃を購入している事が調べでわかっているが…。
更にその後、すぐに捜索の増員が決定され、ロバート・ギランに対しての発砲許可が出た。
つまり、抵抗すれば殺しても構わないということだった。