短編小説
□Don't worry,be happy
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…昨日は幸運だったのか、なんだったのか自分でもよくわからない。
ただの目の保養にドキドキして、会社に行ってからもその胸の動悸は収まらなかった。
上司は眼帯をしていない方の目を細めて言った。
「ホークアイ。恋をしているな?」
「ブラットレイ社長。…御冗談を。」
次の日。
私はいつものように通勤電車に乗る。
いつものようにカーディガンを着て、口紅は付けぬまま、小さな本を開く。
カタンカタン…。
電車は走る。
そしてその駅に着く。
そして…
彼は、昨日と同じように私の前に立った。
思いもよらぬ展開に私の頭の中はフリーズしてしまう。
『ただいま停止信号が発信しました。暫くお待ちください。』
車内放送がかかる。
私が反射的に顔をあげた時、目の前の彼の顔が少しだけほころんだような気がした。