Short Dream

□大嫌いは大好き
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  堅いこんくりーとの上
  何もおかれていない殺風景の部屋
  窓は一つだけ、手も届かないような場所にある。


  こつん、こつん
  歩く音が聞こえる、
  ああ、 あいつが来た、
  「やあ、名無しさんいい子にしてたかい?」
  「・・・」
  気持ちが悪い、
  こいつの顔をみるだけで吐き気がしてくる、
  「名無しさん、名無しさん、愛してるよ、」
  耳元で愛の言葉を呟く、男
  ああ気持ち悪い、やめて喋らないで、
  吐き気がするわ
  「どうして君は無口なんだい?
  ああ、そうか僕と話すのが緊張しているんだね、
  ふふ、緊張なんてしなくていいのに」
  勘違いもほどほどにしてほしいものだ。
  誰もお前と話すのに緊張などしない
  「今日ね、君と僕の仲を邪魔する奴が居たから
  咬み殺してあげたよ、僕いい子でしょう?」

  頭を撫でろというしぐさなのか
  頭を胸に擦り付けてくる男、
  気持ち悪くて仕方が無い、
  「ね、愛してるよ
  名無しさん、は?」
  「大嫌い、よ」

  スパっと言い放せば

         ドカッ
  
  殴られる、
  「どうしたんだい?
  悪い人に何か言われたの?
  君が僕を嫌いになるなんてありえないからね、
  名前をいいな、僕が咬み殺してきてあげる」

  この男は 頭がイかれている
  そもそも この部屋に閉じ込められているのに
  どうして私が人と話せるのか、
  「・・・・」

          なで

  「?!」
  私が頭を撫でると思っていなかったのだろうか
  驚いている様子だ、

  「恭、弥」
  「な、に?」
  「・・・・・」
  不思議そうにこちらを見つめている、
  あああ、気持ち悪いったらあらしないわ



  「名無しさん?」
  「恭弥、私は貴方の事が大嫌い、よ、」
  「・・・そう、僕は大好きだ、よ」
  男は今度は殴らなかった
  「名無しさん、君は少し愛の表現が
  変わっているみたいだね」
  この男がなにを言っているのか理解が出来ないが

  一つだけ分かった、
  やはりわたしはこの男が大嫌いなのだと
  といっても、会った時から嫌いなのだが、
  「名無しさん、僕はね会った時から君の事
  大好きだったよ、
  だからこうして、君に変な虫が
  つかないよう、にこの部屋に
  置いてあげているんだよ、」
  「そう。
  私は会った時から貴方が
  虫唾がはしるほど大嫌いだったわ、」

  すると男はクスクス笑いながら

  「君がいいたいことはよくわかったよ
  君は本当に愉快だねえ、」
  「・・・・・」


  「大好きだよ、愛してるよ、名無しさん」
  「心底大嫌いよ、恭弥」





  (こいつを初めて見たとき全身に)
  (電流がはしった)
  (私はその時からこいつが大嫌い)

  (そうか、彼女は)
  (好きという気持ちが)
  (わからないんだね)



  ((名無しさん、僕たちは相思相愛なんだよ))

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