Short Dream

□初恋
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一つ、何処にでもある在り来たりな愛のお噺をしましょうか。


ある所に、産まれては消え産まれては消える男が居た。
何度も何度も転生を重ね、男は歪んだ。


ある所に、父も母も兄弟も居て愛される為に産まれ
たような女が居た。


女と男は出逢った。男は女を嫌悪した。


光しか見た事の無い青二才に興味はない。
涙を流すか笑う事しか脳がない弱い人間など反吐が出る。



女は男を嫌悪した。


被害者ぶって悲観的な卑屈野郎は嫌いだ
罵声を吐くか、卑屈な考えしか出来ない弱虫には反吐が出る。





そんな二人は恋に落ちた切っ掛けは簡単だ

お互いを知ったからだ。

男は女の、芯の強く折れない所に、

女は男の、弱く脆く優しい微笑みに



だがしかし、二人にハッピーエンドは待って居なかった



男が帰って来た時には全てが終わっていた。
赤く赤く壁も"何か"で塗装されている

数々の修羅場を潜り抜けて来た男だ、その"赤"が
何なのか、何が起きているのか、全て理解できた


女の名前を叫ぶ、かすかな希望をかけて


扉を開けると、予想していた通りだった



赤い塗装をされた最愛の女性が居た。

名前を呼べど、返事などない。冷たくなった彼女の身体

赤くなった彼女の身体、彼女は無の状態だった


覚悟、はしていた。彼女が自分とくっつけば、
このような事が有るかもしれないと。
後で悔いても意味がない。男は死ぬまで独り身でいた
彼女しか愛せないから。



― 大丈夫、私達は必ずまた出逢う。



何処かで聞いた声だった




「…骸様?」


「、ああ、千種。何か?」


「いえ、何か思い詰めた顔でしたので。」


「…思い詰めた、ですか。」


あの声の持ち主は、誰なのか



ただ、大切な存在なのは分かる





(ああ、逢ってみたい僕をこんなに乱している名も顔も知らぬ君。)





初恋。



(こんなのが玄関に落ちてたびょんっ)

(…人?)


(おやおや、どうしたので……す…)

(骸さん?)


みつけた

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