捧げ物・宝物

□星の見える所
1ページ/3ページ



久しぶりに忍足に会える不二は、前の晩からウキウキしていた。



そんな不二の元に携帯がなる。



(この音…)


自分でも恥ずかしいが、忍足が自分だけ違う音色にしてくれと頼まれたせいで、忍足からの電話だと、すぐに分かった。


不二はドキドキしながらも、携帯を取る。




「もしもし?」

『ああ、不二か?』


優しく、低音の声音に不二は頬が緩むのを感じながら、先を促した。


「何?スケジュールの変更?」


そう質問する不二に、忍足はクスリと笑いながら、違う違うと言って話を続けた。



『なぁ不二、今日のデートはちょっと変わった所に行こや』


「え…?」


そう言った忍足に、不二はどこに行く気だろ…と、不思議に思ったが、忍足が妙に張り切っているので、不二は黙って付いて行く事にした。



「わ、分かったよ。楽しみにしてる」



「ああ、不二も絶対気に入る筈やで」



楽しそうな声音に、不二も自然と楽しみになってくる。


忍足との電話を切った後も、不二は頬の緩みが暫く直らなかった。









†††




「さぁ、ついたで」


「ここは……」



目瞑っとき、と忍足に言われて瞑っていた目を開けると、不二の目の前にはプラネタリウムがあった。



「好きやろ?プラネタリウム」



「どうして……」



「好きな子の好みを分かっとるのが彼氏のつとめやんな」


不二が呆然と忍足を見上げると、忍足はにこりと不二に微笑みかける。



「さぁ、行こか。…お姫さん」



不二の手を取り、忍足はプラネタリウムの中に連れて行った。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ