捧げ物・宝物
□この命、貴方の為に
1ページ/4ページ
「政宗様ぁっっ!!!!」
聞こえた時にはもう遅くて。
部下の声を認識し、振り向いたと同時に、
俺の体には、無数の穴が開いていた。
どの位走ったのだろう。敵の攻撃を逃れ、俺達は戦場を駆けていた。
…全身が酷く痛む。
完全に不覚をとってしまった。
先程の襲撃で、俺は腕と腹を何ヶ所か貫かれた。急所に当たらなかったのは幸いだったが、何せ鉄砲玉で撃たれたのだ。
傷口は焼ける様に熱く、息も完全に上がってた。
敵の大将が負傷したとなりゃ、これはまたとないchanceだ。
当然俺は囲まれ、総攻撃を受ける羽目になった。
流石にもう死んだな…と思ったが、いち早く気付いた腹心の1人が俺に駆け寄り、攻撃を防いでくれた。
で、今そいつに肩を借りながら追っ手から逃げてる所なんだが…
ヤバい。目が霞んできやがった。
傷口が熱を持ってきて、焼ける様な痛みが全身に響く。
脚にもだんだん力が入らなくなって―
俺は、その場に崩れ落ちた。
瞬間、部下が慌てて足を止める。
「政宗様!!」
今にも泣きそうに、表情を歪めて俺を覗き込む。
…あぁ、そんな顔すんなよ…
だが、その表情も叫びもだんだん分からなくなって、
俺は意識を失った。
.