跡部クリニック
□第九診察〜後悔の涙と揺れる心
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―ピッ…ピッ…ピッ…
いつもは賑やかで、話し声の絶えない503号室。
しかし、今は無機質な機械音だけが、静まり返った部屋に響いている。
物音一つ無い部屋で、それだけが生を確かめる術であった。
クリニックのオールスターが集合し、必死の治療を行った結果、政宗は奇跡的に命を取り留めた。しかし、かなり消耗しているらしく、未だに眠り続けたままだ。
そして、その傍らにあるソファーで膝を抱えて微動だにしない者が1人。
「政宗…殿……」
俺の所為だ…あんな初歩的なミスをしてしまって…皆にも迷惑をかけ…その上、政宗殿を……!!
胸が締め付けられるようにズキズキと痛む。
ベッドの上の政宗は、まだ目を閉じたままだ。
あのまま、目を覚まさなかったら…自分に向けられる、あの悪戯っぽい笑顔が、もう、見られなくなったら…
そう考えてしまうと、再び、目頭が熱くなる。拭っても拭っても、止まる事のない涙が、幸村の袖を濡らした。
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