DQ

□朝焼け
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「ふっ、はぁあ……」
ユーリルは伸びをしたと思うと、寒さに震えた自分の肩を抱いた。
もうじき冬がくるのか木の葉も落ちた朝、気温はぐっと下がっていた。

「さむ。息も白いや」
はぁ……と息を吐いてみた。
思ったほど気温は下がっていないのかあまり白くはならなかった。
辺りは薄暗い、まだみんなも寝ているようだった。

「なんか寒いから起きちゃったし……。えっと……」
ユーリルは辺りをキョロキョロ見回すと見張りをしているクリフトを見つけた。

「クリフト」
「え、あ、ユーリルさん、起きたんですか」
「うん。なんか寒くて」
「今朝は一段と冷え込みましたからね」

クリフトは苦笑いしながら答える。
それにユーリルはそうだねと返し、クリフトの横に腰を下ろした。

「クリフト眠くない?大丈夫?」
「ついさっき代わったばかりですから大丈夫ですよ」
「そう……本当に寒いね」

クリフトは自分の使っていた毛布の半分をユーリルにかけた。

「ぇ?」
「寒いのでしょう?この方が温かいですからね」

ニコリと笑って言った。
ユーリルはそれにうんと笑顔で答え、クリフトに擦り寄った。

「あっ……」
「どうかなさいましたか?」
「空がすごく綺麗……」

ユーリルの言葉にクリフトは顔を上げ、空を見た。

「幻想的ですね……」

クリフトはユーリルの肩に手を回し、ぎゅっと抱き締める。
ユーリルは自分の顔が自然に綻んだのが分かった。
そして静かに目を閉じた。
隣のクリフトの体温を感じながら、ちょっとした幸せを噛締めた。



end
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