DQ

□忘れないで
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「ユーリルさん、翼こそありませんが」
−ある訳ないじゃん。僕人間だよ?−
「天空人のようですね」
−止めてよ。僕は、あいつらと『同じ』なんて嫌なんだ−

「そうかな?ふふ…ありがとうクリフト」
ユーリルはニッコリと笑ってみせる。

「ユーリルなら天空人として認められるかもね」
−止めて……−

「マーニャってば……そんな訳ないよ」
−そんなこと、あってたまるか−




「ユーリルよ、天空城に住まわぬか?」
「……すいません、僕は」

−なぜお前と同じ所にいなければならない?−

「そうか……」
「スミマセン」

ユーリルは申し訳なさそうに断った。
が、心から申し訳ないとは思っていなかった。

「……では、帰ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ。……悪いがユーリル、少し残ってくれぬか?」

マスタードラゴンはユーリルをじっと見つめた。
ユーリルは内心舌打ちしながらも、いいですよ。と答える。
他の人たちはユーリルに下の階段で待っているからと伝え、ゾロゾロと出て行った。

「僕に何の御用でしょうか?」

ユーリルは笑みを浮かべる。
マスタードラゴンは両側にいる兵達に部屋から出るように言うと、ユーリルを見据えた。

「……お前はなぜそこまで天空人を、私を拒絶する?」

ユーリルはその一言に先ほどまで浮かべていた笑みを消し去ると、マスタードラゴンを睨んだ。

「先に拒絶したのは貴方達でしょう?」

声はあくまでも穏やかに。
マスタードラゴンは沈黙を守る。

「沈黙……yesと判断しても宜しいですね?」

それでも沈黙を守るマスタードラゴンに、ユーリルは苛立ちを覚えた。

「貴方は僕を拒絶した。人間と天空人との間に生まれた禁忌の子だから。けれど今は魔王を倒した『勇者』だから受け入れるという。」

ユーリルは強く睨む。

「受け入れる。けれどそれは『僕』として受け入れるのではなく、『勇者』として……。鬱陶しい。」
「それは違う。」

いままで沈黙を守っていたマスタードラゴンはいきなり沈黙を破った。





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